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執筆者の写真蓮村 俊彰

Quantum Transformationの先の世界を考えてみた

更新日:2021年4月14日

 こんにちは。量子の技術で世界をトランスフォームするQuantum Transformation “QX”プロジェクトの蓮村です。今日は「トランスフォーメーション」の先に待つ世界とはどんな世界なのか、私なりに実体験を交えて考えてみました。

 こんな書き出し方をしますと、私自身、中々人生のベテラン、年配者のように聞こえますが、まだまだお肌も潤う30代中盤です。そんな高々30余年の短い人生でデジタルディスラプションを体感する、そんなスピード感で世界は動いています。

クリエーティブ業界のDX

 私はカメラマン→電通マン→商社マンというキャリアを学生時代含め2003年頃から歩んでおります(詳細)。2006年の学生時代にカメラマン業で法人化しましたが、思えばこれこそデジタル技術によるディスラプションの恩恵そのものでした。

 この記事を読まれる世代の方はまだまだ記憶にあろうかと思いますが、昔のカメラは「フィルム」という消耗品にレンズを通した光を当て、化学的な反応を得て画像を焼き付けていました。撮影すればするだけフィルムを消費するのでコスト高です。フィルムから写真に“現像”する工程も1枚1枚コストがかかりました。なので、どうしても熟練する為の投資たるや、決して楽な出費ではなく、それが参入障壁の一つになりました。



 これがデジタルカメラとなり、撮影の限界費用は限りなく0に近づいた為、モチベーションと時間、それにちょっとだけ運があれば幾らでもセンスと技術を鍛錬できる時代となりました。現像にしても赤色灯揺らめく暗室のような施設や業務用現像機は不要となり、PCとプリンターで事が足る、圧倒的低コスト時代となりました。

 私がカメラマン業で法人化した2006年頃は、40万円前後で1000万画素程度の一眼デジタルカメラを入手できる時代になっておりました。企業からのご支援もあり、世界中で年間10万カットなど撮影し、幾つか写真賞も受賞しました。デジカメなので途上国でもフィルム補充の心配もなく撮影できました。デジタル様々です。カメラマン業で食っていこうと思っていた時期もありました。


しかし、今私はカメラマンで食ってはいません。それもまた、DXによるものです。



情報通信技術(ICT)の進展
出典:国土交通白書 令和元年版(https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h30/index.html)

令和元年版国土交通白書掲載の上図によると、2017年時点で1年間に世界全体で撮影された写真の枚数は1兆3千億枚となっております。2010年時点では3800億枚、2000年は860億枚でした。指数関数的増加速度です。2021年現在では更にその数も質も上がり続けていることでしょう。

 何故なら昨今では3万円程度で購入可能な廉価スマートフォンでも1000万画素程度のカメラがついていることは珍しくなく、そのAIフォーカスや調光、フィルタ機能の進化も目を見張るものがあります。写真のコモディティ化はもはや止まりません。私がカメラで小遣い稼ぎを始めた2003年、法人化した2006年、そして廃業した2008年といった頃が正にターニングポイントだったと感じております。


 当時、先輩ベテランカメラマンから聞いた話として

  • 高性能なデジカメやレタッチ(デジタル現像)環境はどんどん安くなる。設備投資という参入障壁は早晩消え去り、装置産業としてのカメラマン業は廃れる。

  • 素人でも、撮る枚数が多いので、ビギナーズラック含めいい写真もザクザク出てくる。

  • 素人は人数も多いので、誰かがたまたま運よく凄い事件現場に居合わせたり、素晴らしい景色に遭遇し、その写真を撮るようになる。

  • プロ以外は写真で食う必要はないから、採算も度外視。承認欲求が満たされればいいから、素晴らしい写真がタダ同然で流通する。

  • それに特化したオンラインプラットフォームサービスも興隆する。

  • もうプロカメラマンが活躍できる領域は僅かしか残らない…。



 あれから10余年、今では写真や映像、イラストの類はクラウドソーシングで取引される代表的な商材の一つとなり、コモディティ化、レッドオーシャン化が進んでいるように見受けます。高品質な写真を超廉価に流通させるオンラインマーケットプレースや、学校行事や家族の晴れの日にカメラマンを安価に派遣するマッチングプラットフォームも盛んです。こういったデジタル化を前提とした新しいマーケットの創出は正にDXの偉業だと思いますし、社会は効率化していると感じます。

 そしてこれは真に才能ある人、作家性を発揮する人が、才能以外の要因(例えばお金の問題等)で市場に参入する道を閉ざされない良い時代になったとも言えます。過当競争渦巻くレッドオーシャンではありますが、その中でも売れっ子クリエーターは勿論存在しているのですから。 なお、このBlogに掲載の写真(除く国交省図表)はすべてフリー素材です。中々のクオリティです。


トランスフォーメーションのその先に

 YouTuberの例を出すまでもなく、映像やコンテンツ業界も同様に、デジタルディスラプションによって設備投資等、資本の集積という参入障壁が消え、日本人一億総クリエーター時代などとも言われます。これは本質的にその職業で求められる職能(クリエーターならセンスや技)以外の周辺要素によるアドバンテージが意味消失し始めたのだと私は理解しています。

 「トランスフォーメーション」によって効率化し、新たな市場が次々生まれる潮流とは、そういった価値創造の「HOW(設備装置、企業規模、規制免許等)」をどんどん無意味化し、ミニマルかつピュアに「WHAT(価値そのものと、その為の本質的な能力)という点に競争力の源泉を収斂させてゆく時代になることだと私は感じています。



 2000年代前半よりデジタルテクノロジーはまずは「質量なき商材」を扱う情報産業、クリエーティブ産業、メディア・コンテンツビジネスを席捲しました。この潮流は同じく形なき金融業、FinTechを経て2018年頃、遂に日本でも重厚長大な実業界に到達し、遅まきながらDXと騒がれ始めたものと理解しています。

 日々進歩するデジタルテクノロジーはその影響範囲を増々広げますが、それでも到達できない、計算困難な領域もあったことでしょう。DXだけであれば、逃げ切れた業界もあったやも知れません。しかし、テクノロジーは次々と進化し、新たなトランスフォーメーションは確実にやってきます。我々はその中でもアナログ、デジタルの先に量子というパラダイムシフトが起こると確信しています。それが我々の掲げるQuantum Transformation “QX”です。

 QX後の世界では、より本質的な価値創造の源泉にあらゆるリソースが集約される、全体最適の適った効率的なサステナブル社会となっていることでしょう。

 その時代に向け、生み出すべき価値とは何か、本質的な価値の源泉とは何かを常に意識することと、このQX時代は決して迎えるものではなく、自ら率先して切り拓いてゆくものとの意識に立って歩みたいと、そう思っています。

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