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(CLASSIQ社連載#1)量子ソフトウェア開発の過去、現在、そして未来

更新日:5月21日

QXプロジェクトの寺部です。当社のパートナーである、イスラエルのCLASSIQ社による連載を掲載します。Classiq社にて開発中のツールは、ゲート型量子コンピュータのソフトウェア開発を容易にしてくれます。これまでのように量子分野の専門家でないと扱えなかった量子コンピュータをより使いやすくしてくれるものです。彼らのツールによって、新たな量子回路の発見や、より効率的な量子回路を自動で生成してくれるという未来が拓けてゆくことでしょう。それでは、CLASSIQ-イスラエル量子ソフトウェアスタートアップ-による連載「量子ソフトウェアの過去、現在、そして未来」をお届けしていきます。


CLASSIQ

中央がCEOのNir Minerbi、左がCTOのYehuda Naveh、右がHead of AlgorithmsのAmir Naveh



量子ソフトウェア開発の過去、現在、そして未来Part1 / Nir Minerbi, CEO of Classiq(訳:寺部雅能)


 20世紀、量子力学は、レーザーやトランジスタの発明をもたらし、私たちの生活に劇的な影響を与えました。そして21世紀、量子力学は「量子コンピュータ」という新たな革命を起こそうとしています。量子コンピュータは、古典的なコンピュータでは決して実行できない計算を合理的な時間内に実行することができます。これらの計算は、化学、金融、交通、サイバーセキュリティなどに劇的な影響を与えることが期待されています。調査会社のGartner社は、2023年までに20%の組織が量子コンピューティングのプロジェクトに予算を投じるようになると予測しています。


量子アルゴリズムを開発するために現在必要なものは何でしょうか?また、量子が引き起こす地殻変動クラスの大きなメリットを実現するためには、どのような分野が重要なのでしょうか?


それは、ハードウェア、ソフトウェア、そして人材です。


ハードウェア

量子アルゴリズムは量子コンピュータ上で動作します。Google、IBM、Honeywell、Intelなどの大手企業が競って量子コンピュータを構築しています。現在の最大級の量子コンピュータは、数十個の量子ビット(quantum bit)を持っていますが、今後数年間でこの数は桁違いに増えると予想されます。各社のハードウェア実装方法の違いによって、エラーレート、個々の量子ビット間の接続性やクロストーク、ゲートの種類や数など様々な違いがありますが、より強力で有用なアルゴリズムを実現するには、より多くの量子ビットと低いエラーレートが必要になります。現在では、それぞれのハードウェアに合わせてアルゴリズムをカスタマイズし、限界を克服する必要があります。


Quantum Hardware

ソフトウェア

量子ソフトウェアは、個々の量子ビット間の相互接続や、量子ゲートの動作を決定します。これは、NAND、AND、NOT、XORなどの論理ゲートがどのように接続されているかをコードで定義しますので、FPGAでハードウェアを実装することに似ています。

現在、量子プログラミングは主にゲートレベルで行われています。これには大きな課題があります。5個や10個の量子ビットであればゲートレベルでのプログラミングが可能かもしれません。近い将来に数百個、数千個の量子ビットを使ってアルゴリズムを作ることは現実的に不可能です。


Quantum Circuit

そのような量子回路は効率的に設計することも、与えられた量子回路を理解することも、メンテナンスしていくこともできません。この課題は、あるアルゴリズムを別の量子コンピュータに移植しようとすると、さらに複雑になります。量子コンピュータはそれぞれ異なる特性を持っているので、ある機種でうまくいったアルゴリズムを別の機種でもうまくいくように修正するのは大変な作業です。

このような事情から、量子ソフトウェア開発チームは、他のチームが書いたアルゴリズムや、特定のソフトウェア環境にパッケージされているアルゴリズムに、小さな変更を加えるという方法をとることが多くなります。この方法は、既存のアルゴリズムに少し手を加える場合には有効かもしれませんが、新しいアルゴリズムを作成したり、既存のアルゴリズムに大幅な変更を加えたりする事には対処できません。


人材

量子プログラミングは、古典的なプログラミングとは異なります。現在の量子プログラミング手法を考えると、量子ソフトウェアエンジニアは希少な存在です。彼らは、量子情報理論を理解し、量子力学の知識を持ち、線形代数に精通している必要があります。そのため、量子ソフトウェアエンジニアは、通常、量子分野で有名な大学の博士課程を卒業した人が中心になります。これには2つの大きな問題があります。1つ目は、このような資格を持った人材の供給が限られているため、企業が新たに設立した量子コンピューティンググループが人材確保するのに苦労します。2つ目は、量子アルゴリズムの開発には、量子ソフトウェアエンジニアだけでなく、応用領域の専門家も必要だということです。例えば、量子ファイナンスのアルゴリズムには、オプション価格設定の専門家が必要かもしれません。医薬品のアルゴリズムでは、分子化学の専門家が必要になるかもしれません。量子ソフトウェアに必要な知識は、そのような応用領域の専門家を量子ソフトウェアチームに取り入れることを非常に困難にしています。



このような問題はどのようにしたら解決できるのでしょうか?

Classiqはこれらの課題を打破するためにどのようなソリューションを提供しているのでしょうか?

Part2に続きます。

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