こんにちは、細田です!
本プロジェクトの量子技術の要である東北大学、大関氏、羽場氏に迫ります。
Profile
東北大学:“あらゆる世界を変えていく“産学連携のハブ
「THE 世界大学ランキング日本版」で2年連続1位の東北大学は、特に量子アニーリング(量子コンピュータの中で最適化に特化したアルゴリズム)の分野で、学生や若手研究者の将来のビジョンの醸成や、業界を創り上げる取り組みを行っている。
基礎研究や社会実装を支える場として、2020年12月より量子コンピューティング共同研究講座(T-STARS)を発足し、京セラ、デンソー、住友商事などの企業からも客員教授を招く。月に一度の研究ミーティングで、共通課題を解決したり、量子コンピューティングEXPOに出展したりするなど、大学と企業の垣根を超えた活動を行っている。Quantum Skyプロジェクトもまさにこの講座の枠組みで実証が進められている。
大関真之:“量子への愛は誰よりも” 熱血YouTuber
東北大学大学院情報科学研究科・教授
東京工業大学科学技術創成研究院・教授
言わずと知れた量子アニーリング業界の世界的トップランナー。
量子テックスタートアップ2社の創業に携わるなど、新しい形での産学連携のスタイルを模索している。
近著に「Pythonで機械学習入門-深層学習から敵対的生成ネットワークまで-」、「量子コンピュータが変える未来」がある。
現在開催中のYoutubeワークショップでは受講者の質問、コメントをすべて拾うという神対応により、1.5時間の予定が7時間を超えて日を跨ぐ回も。1,500人超の受講者の年齢層、職種もさまざま、そして有休をとって臨む熱い受講者も多数いる。
羽場廉一郎”いつかテクノロジーで常識をも変える”学生イノベーター
東北大学大学院情報科学研究科 修士2年
学生でありながら企業との共同実証をリードする傍ら、量子テックスタートアップであるシグマアイのプロジェクトにも携わるなど、技術を人の役に立つものとすることにこだわり続ける。
「羽場くんに研究者としての能力を与えたときに、社会で、何をしでかすかが見たくなった。」と大関教授をも魅了する、アグレッシブさと謙虚さを兼ねそろえた逸材。
Interview
○学生羽場がQuantum Skyプロジェクトの心臓部をリード
--Quantum Skyプロジェクトでの羽場さんの役割を教えてください。
羽場「住友商事の寺部さんが描いた203X年の未来像、システム像を元にOneSkyのDaniel Honaker氏と東北大からは僕が中心となって具体化しています。中でも僕が量子アニーリングでの実装方法とOneSkyシステムへの繋ぎこみを担当しています。
僕は元々、工場での無人搬送車経路最適化(デンソーと東北大学が実施)の高度化を独自にやっていました。課題設定から、Pythonでのシミュレーション、D-Waveマシン(カナダのD-Wave Systems社が提供する量子アニーリング専用マシン)での実証までやり抜き、日本物理学会及び量子コンピューティングEXPOで成果を発表しています。
大関教授はじめ研究室メンバーがいたからこそ全うできました。
数十万台のエアモビリティが飛び交う世界では、経路は水平方向のみならず高さの要素も加わり、3次元の経路最適化になります。そう考えると単純なようですが、やはりたくさんのチャレンジがあります。どうやって安全性を確保しながら多くの台数を、遅れなく運行できるようにするか。そして、充電や、スカイポートの空き状況もどう組み込んでいくのか。いきなり大きな問題設定にするのは大変ですから、小さな問題から少しずつ積み上げて行き、本当に必要なものを見極める、いわゆるアジャイル型で取り進めます。最終的にはOneSkyのシステムに組み込んだ実証まで行いたいです。」
OneSky社の無人機管制システム紹介動画
〇僕の手で量子技術による社会価値創出を
--工場での配送計画にしても、一人で課題発見から実証までやり遂げる、凄いです。大学の研究者の方は専門技術を突き詰めるってイメージが強かったです。
羽場「もちろん、究めることも大事です。ただ、それだけだとなかなか世の中に技術の価値を理解されないことが多くて。価値も提案していけるようになるため、ユーザーに近い部分まで取り組むようにしています。」
--学生のうちからそこまでの考え方をお持ちなのは素晴らしいですね。
羽場「僕、実は研究の進め方にも強い想いがあります。何か社会を変えるような事ができたらなって。幼少期、隣町のレンタルショップへ行くのが日課だったんです。けど、NetFlixで世界が一変して。今までレンタルショップでDVD借りていた人は、あんまり不便を感じていなかったと思うんです。でもここに無駄な移動とか潜在的な不便があったわけで。
自分も将来潜在的なニーズや、言語化されてない不便などを、全く新しい情報技術を使って、解決したいと思うようになりました。
中でも量子の技術。何が起こるか実に想像しにくいんですが、きっと凄いことが起こるぞって。技術はゴールではないですから、世の中に役に立つことがしたいんです。そういう意味で、企業連携で取り組むQuantum Skyプロジェクトは凄くワクワクしています。」
大関「彼の情熱は素直に凄いですよね。だからこそ、このプロジェクトでも前面に立ってもらって経験を積んで欲しいな、と。本当はある意味無免許である学生を前面に立たせるのは指導教員として非常に勇気がいる事です。だけど、彼の姿勢を見たときに、”よし、企業と関わらせてみよう”と。彼、ある企業と話していたときに、東北大学や自分の強み、企業への提案などうまくやっていたんです。これは凄い才能だと思い、どんどん機会増やしてみよう、と。そしたらハマっちゃったみたい。」
寺部「そんな羽場くんの才能もあり、OneSkyを入れた初回の打合せから盛り上がっていましたよね。羽場くんから最新のツールとかを提案してもらうなど、刺激をもらっています。今やOneSkyメンバーからの信頼も厚いし、プロジェクトの中心になっていますね。」
〇量子と空が出会った。ワクワクが溢れる、未来を創る挑戦
--Quantum Skyってどんなプロジェクトですか?
羽場「まずエアモビリティってだけで男心をくすぐります(笑)。このワクワクする未来像、壮大なんですけど、すこしずつ具体化して示していくことで世の中に広めていきたいと思っています。その結果、現実のものに近づけていけたらなと。」
大関「何か、これで風景が変わりそうなワクワク感があるよね。ローマ法王のミサが今やスマホ持っている人だらけで取り囲まれるみたいな風景の変化。
色々これまで実証をやってきて、ガラリと風景の変わった未来を作るには仲間とともにオセロをひっくり返すような作業が必要だなと感じている。量子アニーリングの色々な実証は、まだ白と黒が重ね合わせの量子状態(笑)」
--まさにエアモビ分野に精通した人がいて、量子技術に精通した人がいて、そんな色んな仲間で取り組むのがこのプロジェクトというわけですね。
寺部「エアモビの世界だけ見ていても、そもそも飛ばしてサービス開始するまでのハードルも無数にあるので、なかなかその先の世界を想定することは難しいことでした。しかし、量子技術があればこんなことできそうじゃない?という異分野からの発想でこんなプロジェクトが始まったわけなんですよね。そういう意味で、オセロをひっくり返すための仲間はこれからもどんどん集まってくれたら、きっと新しい取り組みに変わっていくはず」
羽場「まさに想像できない世界を創りだす挑戦ですよね。色々な人に興味を持ってもらって、一緒に取り組む仲間が増えたら嬉しいです」
いかがでしたか。
情熱溢れる羽場くんを中心に大きな渦が巻き起こるQuantum Skyプロジェクト。これからの取り組みに期待です。この活動や東北大の取り組みに興味を持って頂いた方は、ぜひともご連絡をいただけたらと思います。
ミライへの道はあなたの一歩から始まります。
次回は、最終回。無人機管制システム開発企業OneSky社へのインタビュー
お楽しみに!
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